京王線調布駅近くに、Cerisier(スリジェ)という老舗のフレンチレストランがある。数年前まで同名のパティスリーも別の建物にあり、そちらの方が有名だったかもしれない。レストランは調布市の多目的ホール「グリーンホール」の1Fにある。旧来の自治体施設併設飲食店にありがちなアレな路線ではなく、独立経営の本格フレンチの店である。
実はこちらを1回も利用したことがなかったが、先日やっとランチしてきた。先日といっても昨年10月の話ですけど。
時はラグビーワールドカップ開催中の週末、調布駅前広場のファンゾーンがすごいことになっていたのだが、この中は外の喧騒が嘘のように静か。遅めの訪問とあって店内は2,3組の先客のみ。またその客層も地元の富裕層系マダムで占められ(わたしを除く)、店内は「ラグビーワールドカップなんて興味ないわ」的空気が流れていたが、かくいう自分もRWC2019の過剰な熱気から逃れたかったので、それがちょうどよかった。
こちらティーサロンでのランチは1,200円か1,600円のカジュアルなセットメニューがある。(税抜) この日は奮発してデザート付きの1,600円のセットと、グラスワインをオーダー。
パン、サラダ、スープ。安定のクォリティである。非常にオーソドックスで、斬新さはないが、どれも安心して美味しいと言える味。個人的にこういうの好きです。
メインの魚の名前は忘れた…。「ナントカのムニエル ラタトゥイユ添え ターメリックのソース」みたいな名称だったかと思われ。ターメリックじゃなくてカレーだったかもしれないけどまぁどっちでも同じだよね。
こちらも非常に美味だった。バランスがもう、完璧ですね。これぞ定番のザ・フレンチ!的な味というか。老舗の実力をひしひしと感じるものだった。こういう、ベーシックな基盤がしっかりしている料理ってやっぱりいいな、と思う。もはや文化遺産、といったら褒めすぎかもしれないが、それだけこういう料理を味わえる店が今や稀、ということになる。
食後のスイーツ。チーズケーキと、アーモンドの方は中にカスタードが入っていたような。コーヒーは、まぁアレです。しかし本場フランスでもコーヒーのクオリティは概ねアレなので、そこは目をつむろう。
スイーツもやはり、オーソドックスな本格フランス菓子的。パティスリーも人気だったから、当然のクオリティである。以前1度だけ、パティスリーを利用したことがあった。そのときは良さがわからなかったが、今ならその価値がわかる。なんというか、継承していくべき味なんだよな、こういうのは。
残念だったのが、全体に料理出すペースが早すぎるのと、接客。バイトさんですかね。まるでやる気なし風。そういう文化は、フランスから持ち込まなくていいと思う。
グラスワイン700円をつけたので税込で合計2,530円。料理は美味しかったけど、「店内で気分よく過ごせる」というポイントが低かった分、ちょっとCP悪いなと感じてしまう。
わたしの知る限り、調布市内で本格フレンチと呼べる店はこちらを含めて1,2店舗くらいしかない。貴重な存在なのだから、いい部分を生かして続けていって欲しい。
ちなみに上は調布ファンゾーンの様子。店の外はこんな状況だったのですよ。
追記(2020/4/14)
5月6日まで臨時休業してます。お出かけの際はご注意を。
追記(2020/5/10)
再開を待っている間に閉店するかもという事態に…無念すぎる。
追記(2020/6/1)
昨日5月31日、45年の幕を閉じました。本当に残念で、無念でならない。願わくば、息子さんやお弟子さんに伝えられた豊嶋シェフのDNAが、どこかで開花する日が訪れますように。