カタルーニャの傑作フィルムノワール – 濁った水(La Banyera)

1990年公開のスペイン・カタルーニャ映画「濁った水/La Banyera (aka Murky water)」は大のお気に入りである。

 

la banyera - murky water, 濁った水

la banyera - murky water, 濁った水

 

これはフィルムノワールの傑作だ。しかし現在、日本語でも英語でも、ネット上の情報はほぼ皆無。あんなにクールでエキサイティングな作品なのに。監督はJesus Garay(ヘスース・ガライ)。この監督についての情報も、ほぼ皆無。でもまぁ確かに、DVDも販売されていない様子だし、公開時にリアルタイムで観たかVHSで観た人しか知らないだろう。素晴らしい映画なのに、もったいないいことだ。

この映画は日本公開時、キノ青山という今は亡きミニシアターに、当時一緒によく遊んでた女友達とレイトショーで観に行った。

舞台はバルセロナ、らしい。しかしこの映画は全編がダークで薄暗いトーンで覆われており、明るい太陽の光が降り注ぐシーンなんて一度たりとも登場しない。ま、フィルムノワールだからね。

冒頭のシーンは恐らくバルセロナの空港。主人公の女性アンドレアが、トイレの個室で足首にヘロインを打つシーンから始まる。もうここからグイグイ引き込まれる。映画そのものが水面に揺れているような、圧巻の映像美。クライマックスの鬼気迫る展開と、どんでん返し。

観終わった後、友達と「最後は鬼気迫る感じだったね!」「そうだよね、意外とちゃんとしたストーリーがあって面白かったね!」と感想を述べあった。私はこの映画がいたく気に入った。心を鷲掴みにされた感じだった。

この作品を後年、当時の交際相手と一緒にVHSで見た。が、私の趣味は暗くて重い、と言われた。今にしてみれば全くもって余計なお世話、はなからセンスが合わない相手だった。

リアルタイムで映画館に一緒に観に行った友達は、当時の遊び友達の中でも気に入っていた子だった。彼女と一緒にクラブやライブ、食事や映画に出かけるのが、一番楽しかった。ずっと月日が経って、若い頃にそんな風に全身で楽しんで遊んだ時間がいかに大切なものだったか、身に染みてわかる。あの時間に比べたら、色恋沙汰なんてカスみたいなもんだ。

私がこの映画を好きなのは、作品の魅力とともに、楽しく一緒に遊んだ女友達の思い出がセットになっているからなんだ、きっと。